麦粒雑記

麦粒(ムギリュウ)が日々の出来事をあれこれ綴るブログ。

平成ウルトラの名作4話

ウルトラファンタジー職人

原田昌樹監督特集上映

 昨日は2つの和光大学ポプリホール鶴川で2つのイベントがあり。

 一つはすでに書いたので、夜に行われたウルトラファンタジー職人 原田昌樹監督特集上映』について今回は書こうかと。

 

 ちなみに、ウルトラ関係の上映会は前回この場所でウルトラセブン』を扱った上映会もしていまして。

 それに関しての感想はこちら。

 町田市で『ウルトラセブン』 - 麦粒雑記

 

 さて、今回は2008年に亡くなった原田監督の作品を4つ上映するというもので。

 扱ったのはウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』『ウルトラマンコスモスの4作品のうちそれぞれ1話ずつでした。

 

 このうち、『ティガ』以外の3話は太田愛さんが脚本を書いていて。

 そしてこの3話はどれもウルトラマンが怪獣や宇宙人を倒さない話だったりします。

 まあ、そもそも『コスモス』はそういう作品なのですが。

 

 また、先に挙げた3話の別の特徴として「特殊な設定の登場人物が現れ、最後に去っていく」というのもあり。

 いくつもあるエピソードの中から、似たスタイルの作品が選ばれたのは単に太田さんの作風というだけでなく、選んだ側の意図があった気もします。

 

 では、まずウルトラマンティガ』第49話「ウルトラの星」

 

 今回の上映作品のうち『ティガ』のみ、僕はすでに全話見ているのですが。

 この作品には家で見ていた際に驚きました。

 

 というのも『ティガ』は全52話で、最後3話は通して1つのエピソードを扱っているので、この第49話はある意味〈ラスト1つ前の話〉なのですが。

 

 そこで描かれていたのが過去の『ウルトラマン』制作時期の円谷プロを舞台に、円谷英二さんから怪獣を買おうとする宇宙人とティガに変身するダイゴの戦い

 そして終盤では奇跡によって現れた初代ウルトラマンとティガが、宇宙人が復活させた怪獣相手に共闘というエピソードで。

 

 最終話手前でこの話をするのかというのと。むしろ最終話前だからこうなったのかというのがあります。

 ちなみに、作中での現代ではゴジラなどに関しての話題はあったもののフィクションとしての『ウルトラマン』が放送された訳ではないようなので。

 テレビ特撮としてウルトラマン』が放送した世界と、ティガの世界は別の世界ということ……みたいです。

 

 このエピソードは、メタフィクション的な作品でもあるわけですが。

 この話の中ではウルトラマン』は劇中劇で、しかし実際にテレビ番組として完成した『ウルトラマン』が出ているわけではない

 が、その作中作である『ウルトラマン』を当然我々視聴者は知っている

 

 そして『ティガ』のこのエピソードにおいては初代ウルトラマンはテレビの初代ウルトラマンとは別に、実際に円谷英二さんと会っている宇宙人として存在している。

 というちょっと説明すると複雑だけれど、実際に見ているとちゃんとわかる形で描かれていて、このあたりがこういう「フィクションと現実の境界」とかの話が好きな自分にとっては面白かったというのがあります。

 

 また初代『ウルトラマン』制作当時の時代ネタもいくつも入っていて。

 そういうのも魅力的でした。

 

 次にウルトラマンダイナ』第20話「少年宇宙人」

 

『ダイナ』は現在僕は第15話程度まで見ていて、このエピソードはまだ見ていないのですが。

 個人的に現在テレビでウルトラマンジード』が放送しているときにこのエピソードを選んだのは、その点も意識したのかもというのがあり。

 

 この話は地球人として暮らしていた小学生が、実は宇宙人であったと親から知らされるというところから話が始まるのですが。

 地球人だと思っていたら実は宇宙人だったと知ったら不安だという部分は『ジード』を考える上で、参考になる気もします。

 

 また、この話は少年宇宙人が宇宙に帰ろうとするのを、地球人の友人2人が助けるという話で。スーパーGUTSなどの大人に少年宇宙人の正体がばれたらまずいとして、隠すというのが中盤の話なのですが。

 別に何も悪いことをしていないけど、子供同士で秘密を共有し、大人から隠れて行動するというのは、何か見ていて気に入りました。

 

 また、この際に宇宙人の反応を検知したスーパーGUTS隊員が、畳敷きの子供部屋に転がりながら入ってきて武器を構えるシーンがあるのですが。

 その後の少年たちの対応などもあって、非常にシュールな絵になっていたのが面白く。

 こういう、日本の普通の民家の中に、特殊な服装の人が入ってくる演出は。前回の『ウルトラセブン』のメトロン星人がちゃぶ台のところにいるのとか、そういうのを連想させました。

 

 三話目はウルトラマンガイア』の第29話「遠い町・ウクバール」で。

 今回の4話は結構「今なら話がやや難しい内容という理由で通らないのでは?」というようなストーリーが多かったのですが。

 この作品に関しては、特にそういう雰囲気でした。

 

 どこまでが妄想で、どこからが現実なのかというのが気になり。

 最後まではっきり答えが描かれていないまま終わっているので、例えば「ウクバールがあるというのは、おじさんの妄想だったが、その妄想が人々に多く知られることで現実化した」とか。

 結構、あれこれ考えることができて、この点が面白かったりしました。

 

 また、おじさんと同様に登場したのが売れない役者という設定の人物で、また最後におじさんの家にかかっていたウクバールのイラスト入りカレンダーが『ウルトラマン』放送開始と同じ1966年のものだったこともあり。

 虚構と現実のはざまのおじさん、虚構(芝居)を仕事にしていてしかも売れることを夢(これもまだないという意味では虚構)見る男、そして『ウルトラ』シリーズというフィクション

 と、いういろいろな様相が絡まっていたのがさらにいろいろ想像させるというのがあります。

 

 ちなみに、この作品のサブタイトルおよび作中で登場する架空の都市「ウクバール」はホルヘ・ルイス・ボルヘス「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」という作品に登場する都市らしく。

 ボスヘルという作家はマジックリアリズムというジャンルの根底となった作家のひとりらしいので、このあたりが「遠い町・ウクバール」の雰囲気に関係があるのかもしれません。

 

 それとこのエピソードの途中で「宇宙人ではなく、地球人であるという証明はどうすればできるか」というのに触れていて面白かったです。

 

 最後にウルトラマンコスモス』の第57話「雪の扉」

 

 このエピソードでは、陸上の大会で僅差で敗れた少年と、過去の幸せだった時間に戻りたいと思う戸間乃というおじいさんが登場し。

 過去に戻るために怪獣グラルファンを呼び出すが、戸間乃老人は〈過去は過去の自分のもの〉と気が付き、過去に戻るのをやめる

 

 という話で、少年が短距離走でわずかなタイム差で敗れていることや、グラルファンが登場すると時間が止まることなどが。

 一瞬、一瞬の積み重ねが時間であり歴史であるというのを考えさせられるテーマであると強く意識させるように描かれているのが実によかったです。

 

 個人的には戸間乃老人が去り際に伝えた心から寂しいと思えるほどに大切なものを持つことができたという台詞が特に印象深く。

 どんなに大切なものを手にしても、それはいずれなくなってしまうのだけれど、かつての手にしていた自分が幸せだったことは変わらないというのは考えさせられる話だったというのもあります。

 

 と、こんな感じで上映会はとても楽しめました。

 

 さて、この後関係者によるトークショーがあったのですが。

 最終的には壇上に切通理作さん、丸谷嘉彦さん、渋谷浩康さん、飯島敏宏さん、満留浩昌さん、倉持武弘さん、石井てるよしさん、小中和哉さん、おかひできさんと豪華なメンバーがずらりと並ぶというすごいことになっていました。

 

 そしてトークの方ですが。

 僕自身は撮影という側から特撮を考えたことがなく、またシナリオも脚本という形では考えたことがなかったので。

 知らないことをいろいろ知ることができてとても参考になりました!!

 

 特に「カット割り」というものに関しては結構話題が出ていたので、これはちょっと興味を持ち、帰宅後調べてみたというのもあります。

 

 あと、夕日のシーンに関して。

 やはり怪獣や宇宙人が登場するというのは「黄昏時」「逢魔が時」である夕方が似合うという事なのかもしれません。

 

 他にもいろいろ面白い話題として関係者同士が初めて会ったときに、相手にどういう印象を持ったかとか、そういう話もあったのですが……。

 今回、このブログではこのぐらいにしておきます。

 

 今回の企画の関係者の皆様、そして一緒に楽しんでいたファンの皆様。

 どうもありがとうございました!!

 

 今後も、ウルトラシリーズおよび和光大学ポプリホール鶴川でのイベントを応援していきたいと思います!!

 

 そして、自分もローカルヒーロー制作や、その他の活動を頑張っていきますので、よろしくお願いします!!